糖尿病患者は血液中に生きた腸内細菌がいる

血液中に生きた腸内細菌がいる とは? どうなるの?

2014年6月、順天堂大学とヤクルト中央研究所の共同研究グループが、衝撃的な研究を発表しました。

糖尿病患者の血液中に、生きた腸内細菌が入っていたと言うのです。

と言われても何のことかわかなくても当然です。

血液中に腸内細菌がいるのは、良いことか悪いことか、どちらでしょう?

これは基本的に悪いことです。

血液中に生きた細菌が高いと「敗血症」という危険な状態に陥り、死に直結します。

ただ、今回見つかった細菌の量は、敗血症を起こすほどではありません。

この研究は、ヤクルト中央研究所で発した、ごくわずかな細菌でも検出できる装置を使って行われました。

この装置を使うと、糖尿病でない人でも、50人中二人の血液から生きた細菌が見つかりました。

しかし、糖尿病患者ではその数がなんと7倍。

50人中14人にものぼるというのです。

これは明らかに、何かよくないことが起きているとしか考えられません。

どうして菌が血液中に入ってくるの?

通常、腸内細菌は、腸の壁にロックされ、血液中に入ることはできません。

しかし、腸の機能が衰えて、漏れると、細菌がいってしまうと考えられるのです。

そして、たとえわずかといえども細菌の侵入を許してしまうような漏れる腸は、糖尿病を悪化させる大きな要因になっている可能性があるのです。

そのことを理解するためには、糖尿病の仕組みについてもう少し深く知る必要があります。

糖尿病は単に膵臓が悪くなる病気ではありません。

そもそもは、体全体でインスリンの値が悪くなることが原因になっています。

では、インスリンの値が悪くなる原因は何なのか。

それは、全身の炎症のせだと考えられるようになってきました。

炎症とは、たとえばけがをした傷口に悪い菌が入ると、その周囲がはれあがりますが、あれも炎症です。

実は糖尿病患者は、全身の血管が弱い炎症状態になっていることがわかってきました。

炎症を起こしている細胞では、インスリンがうまく働かない状態になります。

そのため、全身の炎症は糖尿病の引き金となるのです。

糖尿病は、脂肪細胞が肥大化するさまざまな有害物質を出して、糖尿病を引き起こすという構造ですが、その有害物質は、炎症を助長する物質のことです。

そして、全身の炎症状態を招くのは、肥大化した脂肪細胞だけではありません。

大敵である、細菌も当然炎症を引き起こします。

糖尿病患者は、血液中のAPSという物質の濃度が高いことが報告されています。

APSは、腸内細菌が出す毒素の一種です。

腸のバリア機能が衰えると、毒素が血液中に漏れだしてくるのです。

腸内細菌が出す毒素が全身の血管を弱い炎症状態ににして糖尿病の引き金となるのです。

これが最新の研究で見えてきた仮説です。

順天堂大学のグループの研究は、糖尿病患者の腸では、菌の毒素だけでなく、生きた菌までもが侵入してくることを発見しました。

生きた菌が全身の炎症をさらに悪化させる可能性は十分にあります。